研究の背景と目的 農村の過疎や農業離れは、アジア諸国でも顕著になりつつあります。このグローバル問題に挑戦するためには、国民総幸福量(GNH)や文化、歴史、伝統、自然との調和を重視する新しい参加型開発理念に基づく実践研究と人材育成教育が有効となります。そして、そのためには、大学が地域開発に参加することが必要となりますが、その支援には大学間国際連携が不可欠となります。 具体的な実績と成果 2018年1月16-17日:ワークショップ「A Way for Enhancing History, Culture and Tradition for Rural Development in Myanmar and Southeast Asia: GNH and Perspective of Alternative Approaches」(ヤンゴン) (ブータン王立大学シェラブッチェ校の学長の基調講演および若手講師1名、カンボジア王立大学の講師他総計18題の発表。参加50余名) 2018年2月20-21日:ワークショップ「Exploring desirable paths of agriculture and rural development in Asia: Changing livelihoods, international collaborations and trans-disciplinary challenges」(プノンペン) (東南アジア地域研究研究所所長、カンボジア王立農業大学副学長の基調講演、ブータンから講師2名、ミャンマーとバングラデシュからそれぞれ教授1名、他総勢23題の発表。参加50余名) 2018年9月15-5日:アメリカ現地視察 (ミャンマー4名、ブータン2名、日本3名の大学関係者からなるチームをつくり、アメリカのコーネル大学のCommunity & Regional Development Institute、ミシガン州立大学のUniversity Outreach and Engagementを中心に活動や理念について視察と意見交換) 2018年9月28日:アメリカ視察反省会 (京都大学東南アジア地域研究研究所において、チームによるクローズドのアメリカ現地視察反省会) 自己評価と今後の取り組み 二つのワークショップにより、GNHや大学による地域貢献の重要さを共有し、THE世界大学ランキング上位であるコーネル大学、ミシガン州立大学が地域貢献を大学の学術教育研究活動の柱としている現実の姿を視察しました。そしてその結果、この研究事業が「大学による地域連携活動を推進するための国際的な戦略的交流事業」となったと勇気づけられとともに確信しています。今後の課題としては、今後連携大学で具体的化される事業支援をいかに継続展開するかにありますが、その一つは2018年10月から開始される東南アジア地域研究研究所・トヨタ財団国際助成プログラム「アジア農村で暮らす今日的価値の再発見―日本、ミャンマー、ブータンの当事者的相互交流」としてすでに決定しています(2018年10月-2020年9月)。
アメリカ視察については、ミャンマー、ブータンの大学関係者の参加を重視し、実践が進展しているカンボジア関係者ついては招へいを見送ることになりました。また、2018年9月にアメリカの現地視察を行いましたが、台風災害による関空閉鎖に伴う航空便の変更やアメリカでの旅行経費が増加したため、最終ワークショップをミャンマーで行わず、アメリカ視察の帰国時に共同研究者を東南アジア地域研究研究所に招へいし、開催せざるをえませんでした。また、京都大学で開催された熱帯農業学会において、ミャンマー共同研究者による本研究事業に関する発表講演を実現できたことは、参加者全員のよろこびとなりました。 |